数学Ⅱの中でも重要な単元である「三角関数」、その中でも特に中核を成すことになるであろう三角方程式・三角不等式の解法のコツについて解説していきます。今回は特に最初の式変形時にどのような考え方で進めていくかを中心に解説します。
三角方程式・三角不等式を式変形を進めていく中で最初に注意して考えるべき観点は以下の3つです。
- 角の統一
- 可能な限り\(\sin x\) または \(\cos x\)に統一
- その他の変形(合成、積⇔和公式など)
この3つは上から順番に優先順位1,2,3となっています。以下に順に説明していきます。
1.角の統一
三角関数で使用する多くの公式は角が統一されている時に使用されます。
例えば\(\sin^{2} x+\cos^{2} x=1\)という公式は\(x\)の部分が同一であるから\(1\)という値をとります。
具体的な\(x\)の値で考えるならば、\(\sin^{2} \frac {\pi} {3}+\cos^{2} \frac {\pi} {3}=1\)や\(\sin^{2} \frac {\pi} {4}+\cos^{2} \frac {\pi} {4}=1\)は成り立ちますが、\(\sin^{2} \frac {\pi} {3}+\cos^{2} \frac {\pi} {4}\neq1\)となります。その他のよく使うであろう2倍角の公式や半角の公式など、角度が統一されていなければ使うことができない公式ばかりですので、まずは角度の統一をめざすということが優先順位第1位となります。
2.可能な限り\(\sin x\) または \(\cos x\)に統一
角度が統一できたら、次に可能な限り\(\sin x\) または \(\cos x\)に統一することを考えます。
\(\sin x\) または \(\cos x\)に統一できたら、どちらかを \(t\)などと置き換えることにより、\(t\)の2次方程式や3次方程式として扱うことができ、増減表を書くなどしてグラフ化することにより、図で見て考えることが出来るようになります。
ただし、これに関しては必ずしも統一できない場合があり、その場合は\(\sin x\) 、 \(\cos x\)のまま因数分解を行うなどして条件を考えていかなければなりません。
3.その他の変形(合成、積⇔和公式など)
そして最後に、上記の二つの変形が出来ない場合はそれ以外の三角関数の合成や積⇔和公式などを用いて、初手の式変形を行うパターンが多いです。これらの変形については別の記事にてご紹介します!
まとめ
本日は三角方程式・三角不等式の解法のコツについて解説しました。特に問題の序盤にあたる式変形に着目をして考え方の定石を3つ紹介しました!これさえしっかり身に付ければ、始めに何から手を付ければよいかわからないということはなくなると思います。